⾝体や精神に疾患や障害のある⼈にとって臨床実習や研修のバリアは⼤きく、本当は医師になりたかったのに諦める⼈が多く、国際的に問題となっています。⽶国調査では、医学⽣の約3%に障がいがあり、テクニカル・スタンダードにおける合理的配慮を1/3程度の⼤学で進めていますが、国内では、差別解消法以降、増加傾向にある障害のある医学⽣が、研修医になってから合理的配慮が提供されずバーンアウトしています。本学では、患者の体験を持つ医療従事者である「ピアスタッフ」を附属病院に配置し、先端研では、患者の経験をもち、かつ研究者である「ユーザーリサーチャー」を育成するなど、国内の⼤学構成員のダイバーシティ変⾰を先導してきました。
これらの実績から、医学系研究科とバリアフリー⽀援室の密接な連携により、全国医学部初の障害のある医学⽣等の育成プログラムを提供する当センターを2021年4⽉より設⽴し、医学部教育課程にダイバーシティとインクルージョンの理念を取り⼊れていきます。また、医学系研究科とバリアフリー⽀援室の共同により、合理的配慮付き研修プログラムを開発し、彼らの活躍を⽀援する、国際的に⾒ても極めて先進的な取り組みを進めてまいります。さらに、障害のある医療⼈がチーム医療の⼀員となることによる、患者中⼼の医療サービスの質の向上を、医学と社会科学の融合的学問として推進します。
同僚として疾患や障害のある⼈びとを受け⼊れることは、医療の⽂化をより多様性と包摂に配慮したものに変えます。また、臨床研究におけるエンドポイントの設定にも当事者の視点をもたらし、患者中⼼の医療の実現に寄与します。皆様どうぞよろしくお願い申し上げます。
2021年4⽉